
今回は正月の特別限定らーめんとして提供した
「極みの白」について書いてみようと思います。
このラーメンを作るにあたって、自分の中で色々なテーマを設けていました。それは
・自分が「美味しい」と感じる味を作ること
・今までの作り方や味の組み立て方で作らないこと
・無化調スープの限界を知ることこれ以外にも細かいテーマは色々とあったのですが^^、今回のスープに関しては自分の色だけ
を大きく出しています。その一番大きい部分は、今までで初めてかもしれないですね…
「お客様側からの目線は全く頭に入れず、自分が美味しいと思う自分の好きな味を作る」という部分。
今まではレシピを作る際、商品化するときは必ず
「お客様が食べて美味しいと感じられる味」
という部分を必ず考慮します。やはり食べるのはお客様であり、自分のエゴでは味は決められ
ないですから。自分があまり好まない味やバランスであっても、お客様側の目線で食べた場合に
美味しいと感じられる味というのはかなり考えます。
元々、自分は薄味好みな部分もあるのですが、濃い味が好まれる昨今、自分の基準では絶対
通用するとは思っていません…^^;(麺や 優のオープン当初はこの部分で非常に苦労しました)
それ以外にも味を作る上での好みなどもあるのですが、客観的な目線でいつもレシピは考える
ようにしています。しかし、今回はその部分を全く考慮せず
「自分が美味しいと思う味」を基準に
レシピを作りました。魚介系素材の配合の研究などはそのためにも必要だったんですね。
そして、自分は基本的にほとんど無化調でラーメンを作るのですが、無化調で作る場合には
いつもスープの旨みの土台を強くする傾向にあります。これはなぜかというと、自分のお店は
1人の人間が全てのラーメンを作るわけではなく、多くのスタッフが交代で作ることがあるわけ
です。そういった場合、どうしても個々の技術や経験などからも大きなブレが出てしまいます。
そういう場合、無化調のスープというのは旨み不足でブレたときにはかなり不味くなります…
タレの量、スープの量、スープの出来、様々な部分で影響します。
しかし、元々スープの旨みを強くしていると、ブレた場合でもしっかりとした土台があるために
バランスは崩れても、旨み不足というブレに陥ることはほとんどありません。なので、基本的に
自分はスープに力を入れて、濃度と旨みを強くする傾向にあるわけですね。むしろ自分のトコの
スープは化調を使ってるのでは?と思われるぐらい^^;、しっかり旨みがある傾向にあります。
タイプ的には
「繊細な無化調」ではなく
「力強い無化調」とでも表現しましょうか…
要するに重要視する割合は
「スープ>タレ」の傾向で作るというわけです。これは限定メニューなどを作るときも同じ傾向にありますね。
しかし、今回の作り方は
「スープ=タレ」という感覚で作りました。それは今の白醤油のタレが個人的にはかなりイイ出来なので、
このタレを最大限に生かすスープ作りをしたかったんです。それにはスープの旨みという
部分は最小限でよかったんです。そしてそのタレをしっかりと引き出すバランス。それらの
全てを考えて、今までとは組み立て方も考えも違う作り方になったわけです。
今回はスープを作るのもラーメンを完成させるのも全てが自分。自分の舌と感覚だけで
作るわけですから、ブレなども気にせず、スープの旨みはギリギリのラインで引き出すよう
にしていました。無化調の限界を知るというテーマはそこからです。タレの良さを引き出す
ための手段ですね。なので、タレとスープのバランスは非常に難しいモノでした… 旨み
不足にならずに、繊細にタレの味と香りも残るギリギリのライン…
結論的な話をすると、今回作ったスープに関して、味の自分の個人的感想は
「メチャクチャ
美味い」と思いました^^ なので個人的には相当満足の出来る味です。しかし、客観的な目線
での感想は色々と考える部分は多かったです。そして、このラーメンを食べた方々の感想を
聞いたりしてもそう感じました。
まず、こういうあっさり系の味なので、かなり多くの方が完食してくれました。しかし、スープを
残されていくお客さまは、ほとんどが若い方。そして年配のお客さまはかなり多くの方が完食
されていました。これも一つの結果だったと思います^^;
ただ、味の濃さに関しては考慮して薄味にはならないように作りました。本当に自分が美味しい
と思う味であれば少し出汁由来の塩分志向にしたいのですが、こればっかりは非常に難しいと
思っているので… また、今回は麺とのバランスでやや濃いめに作ったというのもあります。
今回はとにかく勉強になることがたくさんありました。それはもちろん
「自分が美味しいと思う
味がお客さまにとって美味しいとは必ずしもならない」という再確認。しかし、それだけでは
なく、こういうタイプのラーメンは非常に難しいということですね… まだまだ勉強が必要だと
感じています。個人的には自分が食べに行ってこのラーメン出てきたら絶賛してますけど^^
この限定は自分自身のラーメン職人として成長していく過程での限定でもあり、挑戦していく
ための限定です。今回は個人的には高得点。これが100人食べて100人のお客さまが美味しい
と感じられるような味に仕上げていきたいと思っています。無化調の端麗系はそれが難しいん
ですけどね…^^;
「味を極めていくラーメン」そんな意味を込めて今後もこの限定ラーメンを作っていきたいと思っています。次回はまた
お客さま側の目線も含めて味作りをしていこうと思います。頑張ります!!
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そして・・最近なかなかお伺いできなくて・・すいません^^;
「極みの白」、是非とも食べたかったんですけど行けなくてかなり残念でした。
個人的な主観ですが・・当然、味・スープの濃度が濃いいわゆる「濃厚系」はそれだけでインパクトも有り、人をひきつける味ではあります。
が・・最近の傾向として「濃度」や「インパクト」に頼りすぎている感があり、素材の持つ本来の「旨味」や「コク味」などが活かしきれていないのでは?と思ってしまうお店が非常に多いと感じています。
もちろん「濃厚」を否定するつもりは全く無いですし、自分も食べたくなりますけどね^^;
「化調」についても同じです。否定はしない(出来ない^^;)ですし、タイプによっては味のブレの調整には必要だとも思っています。が・・頼りすぎるのはどうかと。。
そんなわけで、今回の「極みの白」、非常に興味があったんですよ。
ラーメンって、言ってみれば「何でもあり」なわけですけど、だからこそ全ての素材の「バランス」が大事だと思っています。(私が言うのもなんですが^^;)
その「バランス」を突き詰めて、濃度や味の濃さに頼らずにしっかりと素材の味を引き出して、「美味さ」や「インパクト」を演出したバランスのとれた「逸品」を食べてみたかったのです。
次回の「極みの白」は絶対に食べに行こうと思っています!!楽しみにしてますね^^
わがままを言わせてもらえるならば・・・食べ手の目線は気にしないで作った、今回の「極みの白」も是非食べて見たい。。。^^;